印刷速度だけでは測れない!「実効生産性」を高める3つのポイント

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プリントヘッドのメンテナンスと画像補正が重要!!

表1で紹介した各工程において、プリンターの実効生産性を高めるためのポイントを1つずつご紹介します。

ポイント1: 【印刷前準備】プリントヘッドの吐出性の維持

印刷前準備で重要な作業として装置のメンテナンスが挙げられます。

インクジェットプリンターの場合には、特にプリントヘッドの吐出性を維持することが重要です。
プリントヘッドの吐出が安定しないと、インクの吐出方向が曲がって画像にスジが発生したり、ノズルから吐出されるインクの滴量が変わって濃度ムラが発生したりします。そのため、繰り返しのプリントヘッドのクリーニングが必要となり、補正を行うための印刷にすら、なかなか入れないという事象が発生します。

吐出状態を維持するためには、高性能なプリントヘッドの使用だけでは不十分です。例えば、インクの安定的な供給、適切なプリントヘッドのクリーニングの実施、非印刷時のプリントヘッドの適切な保管などが必要です。

ただし、安定的なインク供給や適切なクリーニングの実施は非常に難しく、例えばインク供給ユニットが原因でスジ・ムラが発生したり、誤ったクリーニングで逆に吐出状況が悪化することもあります。
また、そもそも吐出状態を定量的に把握すること自体が困難であり、吐出状態を維持できているかの把握は難しい課題です。
吐出状態の管理や、クリーニングインク供給ユニットについては、本サイトでもご紹介していますのでぜひご覧ください。

ポイント2:【印刷調整】印刷前の不良ノズルの検出&画像補正

デジタル印刷機の場合でも、印刷方式によっては、色が安定するまで時間がかかる、再印刷時に過去の印刷物と色が合わない、などの理由で印刷調整に時間を要する場合があります。
インクジェットプリンターの場合、ポイント1で紹介したとおり、プリントヘッドからのインクの吐出状態 (吐出方向の曲がり、吐出滴量) を一定に保つことが最重要です。

とはいえ、大型のインクジェットプリンターの場合、プリントヘッドの総ノズル数が数十万以上になることもあり、それら全てを常に良好な状態に保つのは容易ではありません。
そこで頼りになるのが、画像補正技術です。
以前の記事でご紹介したように、吐出状態が悪化した不良ノズルがあったとしても、画像補正技術により、良好な画質を保つことができます。

図2 画像補正の例

また、プリントヘッド間で濃度ムラが存在する場合にも同様に、画像補正によりムラを視認できなくさせることが可能です。
これらの補正技術により、印刷調整時間を大幅に削減することができます。

ポイント3:【検査】印刷中の不良ノズルの検出&画像補正

印刷調整中の補正や試し刷りのときにはスジが出なくても、製品の印刷中に不良ノズルが発生することがありえます。
もし、そのまま製品の印刷を続けてしまうと、その印刷物や印刷時間が無駄になるばかりか、過去に作成した印刷物の検品、再印刷まで必要になることもあります。

図3 印刷中に画像補正を行わない場合

不良ノズルを印刷中に検出し、補正ができれば、再印刷を防ぐことができ、結果として実効生産性が高まります。

図4 印刷中に画像補正を行う場合

吐出性の維持・不良ノズルの検出・画像補正にはノウハウが必須

今回はインクジェットプリンターの実効生産性を高めるポイントとして、①印刷前準備時間の短縮 、②印刷調整時間の短縮、③検査時間の短縮の3つを紹介しました。
そしてこれらの実現には、プリントヘッドのクリーニングと、不良ノズルの検出・画像補正が重要であることをご紹介しました。
しかし、これらの実現にはシステム全体での最適化が必要であり、多くのノウハウが必須となります。
例えば、プリントヘッドのクリーニングだけでも、インク循環の圧力制御や払拭方法なども考慮する必要があり、すべての最適化には非常に膨大な開発期間が必要になります。

また、不良ノズルの検出・画像補正の難しさについても、以前の記事でご紹介しているとおり、不具合箇所や原因の特定、対応方法決定まで多くの困難が存在します。それらを一つひとつ解決することにより、実効生産性の高いインクジェットプリンターが実現可能となります。

富士フイルムでは、Jet Pressの開発でこうした課題を解決する手段を開発し、高い生産性を実現するまでに、数年を費やしました。

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また、今回は紙面の都合上、画像補正に関するポイントを重点的にご紹介しましたが、他にも実効生産性を高めるポイントは複数あります。次回以降にご紹介しますので、ぜひご期待ください。


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