富士フイルムが1200×1200dpiのシングルパス・インクジェットプリンター「Jet Press」の商品化を通じて培った、高解像度インクジェットプリンター開発の「虎の巻」を特別に公開します。
本記事の「3つのポイント」
- シングルパス方式はスキャン方式に比べ、印刷速度が高速になるほど、より画質の維持が難しくなる
- シングルパス印刷では、高速化で起きる多様な印刷特性の変化を理解することが重要
- 高速化でケアすべきポイントは、印刷特性値が増えるもの・減るものに分けると抽出しやすい!
インクジェット印刷には、旧来のアナログ印刷と比較して、印刷版が不要、熟練工でなくても印刷可能などさまざまなメリットがあります。その中でもシングルパス・インクジェットプリンターはこの10年ほどで急速に普及し始めており、高速印刷の用途では必須になりつつあります。
「印刷速度の高速化」は顧客の満足度を高める大切な要件となるため、印刷速度を上げた際にケアすべきポイントを踏まえると、スムーズに開発を進めることができます。そのポイントを見ていきましょう。
印刷速度で変わる性能。家庭用インクジェットプリンターとの違いとは?
家庭用のインクジェットプリンターを使ったことがある方は、シングルパス方式のインクジェットプリンターにおける印刷速度の高速化が画質に与える影響について、家庭用と同様のイメージでとらえられているかもしれません。
しかし、家庭用インクジェットプリンターはスキャン方式であり、シングルパス方式のインクジェットプリンターとは印刷方式に大きな違いがあり、画質に対する印刷速度の影響が異なります。ここを理解していないと、シングルパス方式で印刷速度の高速化を検討したときに、思わぬ不具合にぶつかり、開発の手戻りが発生するかもしれません。
次のページで、その理由と、シングルパス方式で印刷速度を高速化する際のポイントについて見てみましょう。