インク循環制御方式の正しい選定は高画質実現の第一歩

記事をシェアする

s-10メイン画像

富士フイルムが1200×1200dpiのシングルパス・インクジェットプリンター「Jet Press」の商品化を通じて培った、高解像度インクジェットプリンター開発の「虎の巻」を特別に公開します。

本記事の「3つのポイント」

  • インク循環ユニットの制御方式には、アクティブ制御・パッシブ制御の2つがある
  • プリンターの目指す姿に応じて適したインク循環制御方式を選定することが必要
  • 安定して高画質を実現するためにはアクティブにインク循環を制御することが有効

インクジェットで高画質の印刷を可能にするためには、安定してインクを供給することが必要不可欠です。
また、最近では、印刷で消費した分のインクだけをインクタンクからプリントヘッドに供給するのではなく、インクタンクとプリントヘッドの間で常にインクを循環させるタイプのプリントヘッドを採用することが増えています。
循環タイプのプリントヘッドの採用により、乾燥性が高いインクを使用できたり、精密なインク温調により濃度ムラなどを抑制できたりするメリットがあり、高画質のインクジェットプリンターの開発には有利になります。
今回は、高画質のインクジェットプリンターにとって非常に重要となる、インク循環タイプのヘッドでインクの循環を安定させるための制御方法のポイントを見ていきましょう。

画質に大きく影響するインク循環ユニット。どのような機能が必要?

高画質なインクジェットプリンターを実現するために、インク循環ユニットに求められる機能としては以下の4つが挙げられます。

  1. 異物の除去と異物発生の抑制
  2. 気泡対策
  3. インク温度の制御
  4. ノズルにおけるメニスカスの制御

これらの機能が不十分な場合には、印刷物上にスジやムラなど画質を低下させる問題が発生してしまうため、高画質のインクジェットプリンター開発では非常に重要です。上記4つの機能を実現するためのポイントについては、以前の記事で紹介しています。

では、実際にこれらの機能を実現するためのインク循環制御の方式とは、どのようなものでしょうか。大きく分けて(1)アクティブ制御方式と(2)パッシブ制御方式の2つがあります。
次のページから、それぞれの具体的な仕組みや特徴を見ていきましょう。

インク循環ユニット
図1 プリントバー(プリントヘッド)にインクを循環する「インク循環ユニット」

ページ: 1 2

記事をシェアする