富士フイルムが1200×1200dpiのシングルパス・インクジェットプリンター「Jet Press」の商品化を通じて培った、高解像度インクジェットプリンター開発の「虎の巻」を特別に公開します。
本記事の「3つのポイント」
- プリントヘッドの寿命は、ユーザーの運用コスト削減につながる重要なファクター!
- プリントヘッドの寿命推定を可能にする定量評価に必要な3つのステップ
- 寿命はプリントヘッド単独では決まらない! 寿命延長にはクリーニングユニットの活用方法なども重要
産業用の大型インクジェットプリンターの場合、百個以上のプリントヘッドが搭載されることもあります。そのためプリントヘッドの寿命 (平均的な交換までの期間) を延ばし、交換頻度を抑えることは、ユーザーのランニングコストを大幅に削減し、ユーザーからの評価や満足度アップにつながる重要なファクターとなります。
さらに、プリンター開発の担当者やプロジェクト・マネジャーにとっても、プリントヘッドの寿命は、開発費やプリンターの利益算出に影響する重要なファクターとなります。
また、プリントヘッドの寿命は、プリントヘッド単独の性能で決まることはほとんどありません。使用するインクやプリントヘッドクリーニングの方法といったさまざまな要因が関連してきます。
プリントヘッドの吐出状態・寿命を推定する仕組みづくりが大事
プリントヘッドの経年劣化は避けることができず、ノズルの吐出状態に影響を与えます。たとえ初期に不良ノズル数が0であっても、長年使用していると、プリンターの稼働とともに不良ノズルが増え、印刷物にスジやムラが出てくることがあります。
富士フイルムでは、Jet Pressの開発・販売を通じて、数にして数千個以上のプリントヘッドの吐出状態を定量的に測定する方法を確立し、それを基にプリントヘッドの寿命を推定することにより、現地サービスマンがプリントヘッドの交換判断に活用しています。
今回は、富士フイルムがJet Press開発の中で用いている、プリントヘッドの寿命推定の具体的な方法を特別にご紹介します。