プリントヘッドのクリーニング直後のスジトラブルの原因に迫る!

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1200×1200dpiの解像度を持つシングルパス・インクジェットプリンター「Jet Press」の開発でさまざまなトラブルを経験した富士フイルムの技術者が、試行錯誤の中でわかった技術課題と対策についてご紹介します。

本記事の「3つのポイント」

  • 吐出性を維持するためのクリーニングがスジの原因になりうる
  • ヘッドクリーニング直後に起こるスジ原因特定で重要な3つの視点
  • 最適なヘッドクリーニングには、ウェブ(布)などの様々なパラメーターの考慮が必要

前回のVol.1「スジ・ムラを体系的に分析するには?」では、高解像度シングルパスインクジェットプリンター開発で特に大きな課題となる画像欠陥「スジ・ムラ」の体系的なとらえ方と対策をご紹介しました。

今回は、具体的なスジ・ムラの事象を見ながら分析・対策方法を紹介していきます。

クリーニングがスジの原因に?! 開発におけるリスクとは

インクジェットプリンターを開発していて、こんなご経験はないでしょうか?

  • プリントヘッドクリーニング後、こっちのノズルは回復したけど、あっちのノズルが悪化…吐出状態が安定しない!
  • プリントヘッドクリーニングをしたら、むしろ吐出状態が悪化してしまった!
  • 最初の頃はきれいに印刷できていたのに、最近はスジが見え始めたなぁ…

このような場合には、プリントヘッドのクリーニングを適切に行えていない恐れがあります。この状態では、開発中の製品の評価が適切にできなかったり、実際は正常なプリントヘッドが不具合を起こしていると判断してしまい、使えるはずのヘッドを交換して開発コストが増加してしまったりと、大きなリスクになりえます。

当社もJet Press開発の中でプリントヘッドのクリーニング方法の最適化には数年の試行錯誤があり、プリントヘッドの吐出性の維持において重要なポイントだと認識しています。
なにせ、大型で高解像度の印刷機には数万から数十万個のノズルがあり、その中のたった一つのノズルが不良になるだけでも、スジが発生しうるからです!

では、富士フイルムが直面したプリントヘッドクリーニングの課題、そして、それをどのように対策したのかについて、具体例をご紹介します

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