スジ・ムラを体系的に分析するには?

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経験をもとにさまざまな観点で事実情報を整理、原因を特定する

前ページでご紹介したように、対策を検討する前段階として「何が原因か」を特定するため、富士フイルムではさまざまな切り口で事実情報の整理、切り分けを行っています。

  • 具体的なチェックポイント例

ここで3つのケースを挙げて、アプローチの仕方を見てみましょう。全て見た目上は類似した濃度ムラ(What)で、印刷開始時に発生し繰り返し性があり(When)、印刷物上の発生箇所も類似しています(Where)。ケース1は特定色のプリントバーに集中して濃度ムラが発生、ケース2/3は全色で発生しています(Who)。ムラの特徴(What)や発生タイミング(When)は類似していますが、発生箇所を見ると差分を抽出できました(Where)。さらに、切り分け実験として搬送速度を変えてみたところ、現象に大きな変化が生じました(How)。この場合、プリントバーの締結不良に起因した濃度ムラである可能性が高いと推定できます。実際には、その他さまざまなパラメーターや事象を抽出・評価し原因を特定する必要があります。

要素実験に戻って要因を探ることや、要因と関係のない方法での課題解決も

こうして得られた情報をもとに、大きく要因を切り分け、さらに詳細に分析してスジ・ムラの原因を特定していきます。
Jet Pressの開発では、これらがうまく特定でき、簡単に対策を実施できる幸運なケースもあれば、特定ができても対策が困難なケース、特定すら困難なケースも多々ありました。そこで富士フイルムでは、詳細な分析はもちろん、時には要素実験まで戻り、時には要因とは直接関係のない機能で課題を解決することで、現在では安定した高画質が得られるようになっています。

迅速な原因の特定・解決に至るには、長年の試行錯誤が必要でした

Jet Press開発を通じ、原因特定から対策までの幅広い知見やデータ解析の技術を蓄積している富士フイルムでは、プリンターを開発する皆様の開発をサポートし、インクジェット業界の発展に貢献することができると考えています。今後、このシリーズではスジ・ムラの具体的なトラブルを取り上げ、その原因と対策例についてご紹介していきます。ぜひご期待ください。
また、スジ・ムラに関するご質問、ご相談がございましたら、下記お問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。


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